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第100話

突然のことだったが、彼女との距離感がはっきりとなった。

まさか、こんな風にきっちりつけなければならないのか?

彼女がそう思ったのは……あの人のせいなのだろうか?

翌日、弥生はノートパソコンを修理に出し、数万円をかけてなんとか使える状態にした。

彼女は会社にいる時間が少なくなっているため、このタイミングでノートパソコンを買い替える必要はないと判断した。完全に無駄遣いだった。

彼女は理優と一緒に朝食をする約束をしており、二人は階下の食堂に座った。弥生は仕事のことを尋ねた。

理優は不満そうに豆乳をすする一方、弥生を何度も見つめていた。

もしかしたら彼女の気のせいかもしれないが、最近弥生がとても頑張っているように見え、彼女から多くのことを教わったため、驚くことばかりだった。

そう考えながら、理優は口の中のものを飲み込み、「霧島さん、質問してもいいですか?」と尋ねた。

弥生は彼女を一瞥した。

「何か」

理優は警戒しながら周囲を確認し、弥生の近くに寄った。

「あなた、もしかして退職するつもりなんですか?」

弥生は沈黙した。

この女、警戒心が強いな。

彼女は唇を噛みしめ、答えなかった。

すると、理優は彼女の様子を見て慌て始めた。

「霧島さん、私はあなたのことを探りたいわけじゃないんです。ただ、最近あなたが頑張りすぎて、私にたくさんのことを教えてくれたから、そう思っただけなんです」

今、彼女に話すのも悪くないかもしれない。

「そう」弥生は否定せずに答えた。

「だから、しっかり勉強して。時間は少ないから」

理優は信じられないという表情で目を見開いた。

「霧島さん……」

弥生は手元の作業を終え、ノートパソコンを閉じながら淡々と言った。

「他の人には言わないで」

理優はただ無表情で頷くしかなかった。

心の中には突然悲しみが湧き上がり、波が押し寄せるように彼女の胸を満たした。

だからこそ、昨日、霧島さんが彼女にそんなに怒った理由が分かったのだ。彼女は当時混乱していて、どの言葉が弥生を怒らせたのか分からなかったが、今考えると、弥生が退職することを知っていて、その後の彼女を守れないから、周囲の人たちと敵対しないように警告していたのだ。

理優は必死に下唇を噛み、無表情の弥生を見つめながら小声で尋ねた。

「宮崎さんと離婚するつもりなんですか
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